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Japanische Klassiker mit Furigana

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ほのおのひと――ゴッホしょうでん――

炎の人――ゴッホ小伝――

三好 十郎

Lesen Sie 炎の人――ゴッホ小伝―― (ほのおのひと――ゴッホしょうでん――) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.035 Zeichen · 207 Bildschirme

Aozora Bunko

五官が過敏すぎるのである。とくに嗅覚と視覚がそうだ。物の匂いがあまり鼻に来るので、まるで犬のようだと人からいわれたことがなんどもある。また初夏の林の道などを歩いていると、あまりに多種多様の緑色が見えすぎて、その刺戟のために目まいを起して倒れることがある。私が神経衰弱になりやすいのは、これらの感覚過敏のためらしい。時にそれが呪わしいような気がすることがある。しかし、次第に、それも自分に生れついたものだとあきらめるようになって来た。あきらめるというよりも、これが自分というものだ。これらの過敏さを抜きにしては自分というものは存在し得なかったのだ、これは自分に与えられたものだ、してみれば自分にとってかけがえのないという意味で貴重なものであると考えるようになった。

私がゴッホに本能的に引きつけられることの理由に右のようなこともあるかも知れない。ゴッホの絵が唯単に良い絵として私に受け取られたのではない。実はゴッホの絵を「うまい」と思ったり、「美しい」と思ったりしたことは、ほとんどないのである。ただドキンとするような感じがこちらに来るだけなのだ。彼の絵を貫いている根源的なイノチのようなものが、他人のもののようでないジカな感じでこちらの内部に入りこんでしまった。