Japanische Klassiker mit Furigana
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ほのおのひと――ゴッホしょうでん――
炎の人――ゴッホ小伝――
三好 十郎
Lesen Sie 炎の人――ゴッホ小伝―― (ほのおのひと――ゴッホしょうでん――) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.035 Zeichen · 207 Bildschirme
上手の売台の中に立って、下手の「タンギイ像」によく似た、ただしそれから麦わら帽子だけをぬがせたタンギイが、若いボヘミアン風の画学生に絵具を売っている。表では通りがかりの娘が一人、めずらしそうに飾窓の中を覗きこんでいる。
学生 オークルを、もう一本。
タン もうそれでいいでしょう。
学生 またはじまった。僕は風景を描くんだぜ。オークルがなくて、どうして描けるんだい?
タン さあ、それは私にはわかりませんな。とにかく、もう絵具は有りません。
学生 小父さんちは絵具屋だろう?
タン そりゃ、そうでさ。看板にもちャンと書いてあります、絵具販売業、タンギイ。
学生 だから業じゃないか。業なら客に売らなくちゃなるまい?
タン 売りますよ、売るぶんにはいくらでも。
学生 だからオークル一本。
タン 聞きますが、売ると言うのは、品物をお客に渡して、お客から金をもらうことでしょうな? あなたは、この前の分も、まだ払ってくださらない。
学生 だから、こんだおやじから金が送って来たら、今日の分もいっしょに、くださろうと言ってるじゃないか。信用しないかね僕の言うのを?
タン 信用はしますけどね……困りますねえ、とにかく、家では家内があんた、やかましくって。