Japanische Klassiker mit Furigana
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ほのおのひと――ゴッホしょうでん――
炎の人――ゴッホ小伝――
三好 十郎
Lesen Sie 炎の人――ゴッホ小伝―― (ほのおのひと――ゴッホしょうでん――) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.035 Zeichen · 207 Bildschirme
エミ 僕はそうは思わないですね。なるほど、影響は受けています。非常に素直だから。素直すぎるんです。なにしろ、去年、アントワープからパリに出て来て、出しぬけにマネエやピッサロやゴーガンを見さされて、たまげてしまって、自分も明るい色を手に入れなきゃならないと言うんで、一週間ぐらいの内にパレットの絵具をすっかり取り変えてしまったくらいですからね。そう言う男ですよ。情ないくらいに謙遜な、特にゴーガンの前ではまるで卑屈なんです。見ていて泣きたくなるくらいに気が弱い。
ロート 弱いかねえ? わしには猛烈すぎるように見えるがねえ。ゴーガンは人間は強引だが、絵では、自然と仲良くやって、つまり自然を撫でたりさすったりしている。こいつは、歯をむいて、噛みつこうとしている。ふん。……セザンヌが、こないだ、奴さんの自画像を見て「この人は気ちがいの絵を描いてる」と言ったっけか、フフ、さすがに、うがったことを言う。もっとも、そう言う夫子自身、ちゃんともう気がちがっているがね、へへ!
そこへ、しかたがないと言ったふくれっ面で、おかみが三人分のコーヒーを盆にのせて持って出て、茶テーブルの上に並べる。