Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

Lesen Sie 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) von 須川 邦彦 (すがわくにひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 100.616 Zeichen · 201 Bildschirme

Aozora Bunko

だから、なにかのつごうで作業のすくないときは、まるで学校のような日もあった。一週に一度、私が一同に精神訓話をした。

「インキがほしい」

と、私がいった。

水夫長が、万年灯にたまった油煙をあつめて、米を煮たかゆとまぜて、インキのようなものをつくった。そして、海鳥の太い羽で、りっぱな羽ペンはできたが、インキは役にたつものではなかった。

漁業長が、カメアジの皮を煮つめて、にかわをつくって、水夫長のインキにまぜて、とうとうりっぱなインキができあがった。このインキは、水に強く、帆布に文字を書いて海水にひたしても、消えない。

そこで、帆布を救命浮環にはりつけ、その帆布に、このインキで、

「パール・エンド・ハーミーズ礁、龍睡丸難破、全員十六名生存、救助を乞う」

と、日本文で書き、おなじ意味を英文で書いて、伝馬船で沖にもっていって、

「われらの黒潮よ、日本にとどけてくれ。――救命浮環よ、通りかかった船にひろわれてくれ」

と念じて、人目につくよう、帆布の小旗を立てて流した。

「インキよ、何年、波風にさらされても消えるな。――文字よ、いつまでも、はっきりしていてくれ。人に読まれるまでは……」