Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

Lesen Sie 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) von 須川 邦彦 (すがわくにひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 100.616 Zeichen · 201 Bildschirme

Aozora Bunko

まだ波に取られないのは、伝馬船一隻。命とたのむのは、これだ。こればっかりは、どうしても失ってはならない。総員全力をつくして、伝馬船をまもった。

こんなたいへんな時にも、十六人の乗組員は、よく落ちついて働き、とくに小笠原老人は、よく青年をはげまして、上陸の支度をした。

今夜にかぎって、時のたつのが、じつにおそい。夜明けが待ち遠しい。早く夜が明けますように――波をかぶりながら、神に祈った。

小笠原島生まれの、帰化人の範多が、私にきいた。

「島に、飲み水はありますか」

私は、どきっとした。小さな珊瑚礁に、水の出るはずがない。しかし、せっかく島へあがっても、命をつなぐ水がないといったら、一同は、どんなにがっかりするであろう。

「水は出るよ」

と、私は答えた。それも、あれこれと考えたすえ、うそと知りつつ、よほどまのぬけた時分に答えたのであった。

とにかく、あと、一、二時間しんぼうすれば、夜が明ける。それまで船体は、波にたえしのげるだろう、と見こみをつけた。

大波が、ずどうん、とおそって来るたびに、船体は、びりびりと、ふるえるようになった。甲板にはってある板のつぎ目がはなれて、一枚一枚の板が、うねりまがって、歩くのが困難となった。