Japanische Klassiker mit Furigana
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むめいさっかのにっき
無名作家の日記
菊池 寛
Lesen Sie 無名作家の日記 (むめいさっかのにっき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.441 Zeichen · 43 Bildschirme
俺はそれがかなり淋しかった。
「よかったら、どこかの雑誌へ」と、そんなことは、口に出す勇気さえなかった。俺は、手持無沙汰になって帰ろうとした。そして帰り際に、
「英国の近代劇の研究には、どんな参考書がいいでしょうか」ときいた。すると博士は言下に、
「マリヨ・ボルサがいいでしょう」といった。俺は、それをきくと少々落胆した。マリヨ・ボルサは、俺が高等学校時代に読んだ本だ。ほんの手引草に過ぎない本だ。
俺は、博士が詩に熱心で、戯曲には冷淡だという風評を、幾度きいたかもわからない。しかし、これほど博士が戯曲に冷淡だとは思っていなかった。俺は、「夜の脅威」が、博士から受くる待遇についてまったく心細くなってしまった。
二月二十日。
中田博士と、教室でたびたび顔を合すけれども、俺の戯曲については何もいわない。しかも博士は講義の時間にイプセンの「幽霊」を散々に罵倒した。俺の戯曲は、実をいえば「幽霊」からヒントを得ているので、俺はイプセンに対する博士の罵倒から、かなり傷つけられた。博士は、恐らくそれを故意にやったのではあるまい。が、俺はとにかく不快だった。
佐竹に会ったが、あいつは林田草人に送った小説について林田から何もいってこないので、かなり気を悪くしているらしい。