Japanische Klassiker mit Furigana
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むめいさっかのにっき
無名作家の日記
菊池 寛
Lesen Sie 無名作家の日記 (むめいさっかのにっき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.441 Zeichen · 43 Bildschirme
こっちが完成したらもうしめたものさ」と相変らず元気なことをいっていたが、ふと「△△△△」が佐竹君の目に入ると、
「山野君の『廃人』が載っていたね。ありゃそう恐るるに足るものじゃないね。ただ思いつきばかりのものだ。芸術としてはむしろ邪道だね」と、いった。が、俺はもうこの男の罵倒から、なんらの慰安をも感じなかった。思いつきばかりでもいい、芸術の邪道でもいい、文壇に認められる方が、どれほどいいことかわからなかった。六百枚の長篇を終って、千五百枚の大作にかかっている佐竹君よりも、三十枚ばかりの器用な短篇を書いて、一躍して認められた山野の方が、俺にはどれほど羨しいかわからなかった。
俺は、それから意外なことに気がついた。俺は何気なく佐竹君に「群衆」を見せて、俺のわずか七枚の小品を指し示すと、それを見た佐竹君の瞳は、異様な輝きを帯びた。
「なんだ! こんな短篇か!」と、彼は吐き出すようにいった。
「この雑誌は一体、誰が経営しているのだ! 一人としてろくなやつが書いていないじゃないか! 草田花子! あ! こいつか! こりゃ君! この間、山本という男と、作品の褒め合いをしたかと思うと、獣のようにすぐくっつき合った女じゃないか。