Japanische Klassiker mit Furigana
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むげつものがたり
無月物語
久生 十蘭
Lesen Sie 無月物語 (むげつものがたり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.485 Zeichen · 36 Bildschirme
あるだけの隠し田をさらけださなければ、二人の女童のほうも家から追いだしてしまうと脅しつけた。
そのころ泰文は東山の八坂の中腹に三昧堂のようなものを建てた。招かれたある男が、あなたほどの無信心者がどういう気で持仏堂など建てたのかとおかしがると、泰文はその男を縁端まで連れて行って眼の下の墓地を指さし、
「あれはうちの墓地だが、童めらが一人残らずあそこへ入ったら、おれはここに坐ってゆっくり見物してやるのだ、そのための堂よ」
と笑いもせずにいった。
泰文は自分の子供らの墓を縁から見おろしてやるというだけの奇怪な欲望から、そういう堂を建てたことをその男は了解し、呆気にとられてひき退ったが、あわれをとどめたのは勘当された三人の息子であった。長男の文雄は方略の論文を書いてかすかす試験に及第し、河内の国府の允になって任地へ発つ運びになったが、二男の国吉は燈心売りになり、三男の泰博は二条院の雑色になって乞食のような暮しをしていた。泰文のやりかたがあまりひどいので、親戚のものも見るに見かね、関白基房を通じて法皇のご沙汰をねがった。法皇も呆れて、子供らを家に入れるように注意したので、泰文は渋々勘当をゆるしたが、基房の差出口が癇にさわったとみえ、間もなくひどいしっぺいがえしをした。