Japanische Klassiker mit Furigana
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むげつものがたり
無月物語
久生 十蘭
Lesen Sie 無月物語 (むげつものがたり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.485 Zeichen · 36 Bildschirme
公平な立場に立てば公子と花世に罪があるかどうかたやすく判定しかねる性質のものだったから、当然、寺預けか贖銅(罰金刑)ぐらいですむはずだと安心していたのである。
泰文は悪霊民部卿という通名で知られた忠文の孫で、弁官、内蔵頭を経て大蔵卿に任ぜられ、安元二年、従三位に進んで中納言になった。比叡の権僧正である弟を除くと、兄弟親族はほとんどみな兵部関係の官位についていたが、泰文だけは例外で、若いころから数理にすぐれ、追々、大学寮の算博士も及ばぬ算道の才をあらわすようになり、大蔵卿に就任するやいなや、見捨てられていた荘園の恢復にかかり、瞬く間に宮廷の収入を倍にするという目ざましい手腕を見せた。もっともその間に抜目なく私財も積み、深草の長者太秦王の次女の朝霞子を豊饒な山城十二ヵ荘の持参金つきで内室に入れるなど、三十になったばかりで藤原一門でも指折りの物持になり、白川のほとりなる方一町の地幅に、その頃まだ京になかった二階屋の大邸をかまえ、及ぶものなき威勢をしめした。
そのかみ忠文は将門追討の命を受けて武蔵国へ馳せ下ったが、途中で道草を食っているうちに将門が討ちしずめられ、なんのこともなく漫然と京へ帰還した。