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Japanische Klassiker mit Furigana

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むほうもの

無法者

豊島 与志雄

Lesen Sie 無法者 (むほうもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.837 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

志村はその側へ行き、あたりの人に聞えるぐらいな声で言った。

「来週の月曜日にしましょう。」

房代夫人は平然と答えた。

「やまぶきのことでしょう。迎いに来て下さいますわね。」

「六時頃……。」

「お待ちしております。」

志村は人々の視線を浴びながら、室を出て行った。

志村は房代夫人との約束をすっぽかすつもりだった。フグの茶漬けなどといううまくもないものを食う物好きもないものだし、やまぶきという割烹旅館のことも固よりでたらめである。房代夫人もそれぐらいのことはだいたい感づいてる筈だった。

ただ、志村はなんとなく腹の虫が納まらなかった。房代夫人の打明け話は、彼を侮辱するような毒素を多く含んでいた。彼女自身は恐らくそのことを意識していなかったろうが、それとこれとは別問題だ。

一般女性の浅間しさというものを、志村は漠然と感じてはいたが、直接それに頭をぶっつけた気がした。あの数々の話そのものが、女性の浅間しさを暴露したものであり、そんな話が伝えられてること自体も、同然であった。外にもどんな話が流布されてるか分らなかった。そしてその浅間しさが、志村を侮辱してくるのである。