Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

真昼の狼

で、その大次郎をここの人混みで発見けた千浪は、嬉しさにわれを忘れて、

「あれからずっとお探し申しておりましたが、運よくお眼にかかれて、わたくし――ささ、とにかく一応道場へお帰り下さいまし。千浪の心も、よっくお話し申し上げたいと存じますから。」

人の輪のすぐそとの立ちばなし。

高札に気を取られている群集の耳には、入らないらしい。

大次郎――と思われる人物は、その、弥四郎ずきんの中の眼を、かすかに笑わせて、千浪! さてはこの、あの猿の湯の藤屋にいた江戸の武芸者の娘は、千浪と言うのかと、ひとり合点いた様子で、

「大次郎か。わしがその大次郎ということが、千浪殿にはよくおわかりになられたな。」

「はい。それはもう――。」

この江戸に。

白の弥四郎頭巾に白の紋つき――同じよそおいの伴大次郎が二人、あるいは、祖父江出羽守がふたり、さまよいあるいていることを、千浪は知っているはず、忘れるわけもないのだけれど、これと思う姿を人中に認めた喜びのあまり――千浪、この瞬間やはり忘れていたに相違ない。

恥らいを含んでそう言いながら、にっこり覆面を見上げると、