Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

「大次は、下谷の道場にいるとかいう噂だ。道場へ報せてやらざあなるめえ。下谷の練塀小路だ。由来い。」

いきなり歩き出そうとするから、由公はあわてて、

「ちょっと、親分、待っておくんなさい。」

「親分たあなんでえ。野中の一軒家じゃあねえや。お客様の聞えもあらあ。旦那と言いねえ。」

「へえ、旦那――じつは、十軒店から本銀町まであ、ちゃんとうしろから白眼んで行きましたんで。それが、あそこの角へかかりますと、ふっと消えちめえやがった。いや、あっしは面喰ったの、面くらわねえのって、すぐ横町へ飛び込んで、あの、時の鐘の下あたりをぐるぐる廻って捜しやしたが――。」

佐吉は、苦笑して、

「こりゃあ承知の由公にゃあ、ちっと荷が勝ち過ぎたようだ。そりゃあお前、甲賀流の霞跳びと言って、山あるき野歩きに、草一本ありゃア不意っと姿を消すといわれている妙法だあな。」

「あれっ! するてえと、あの武士はとんでもねえ化物なので。」

「馬鹿野郎、化物なりゃこそ手前に後を尾けさせたんじゃねえか。」

「どうも何とも申しわけがござんせん。」

しきりに、頭を掻いている由公を、佐吉はじろりと見下ろして、ずかり! 縁側へ踏み出した。