Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

奥まった一室を与えられた千浪、まるで文珠屋の女王のように、主人佐吉をはじめ、一同に大事に侍かれていた。

裏おもて隠れ里

「あらッ!」

叫んだのは、恋慕流し宗七の妻お多喜だ。深川やぐら下の小意気な宗七の住居で。

「あれ、お前さん、小信さんがいないじゃないか。」

と言う声に、その一間きりの柱にもたれて、ぼんやり物思いに耽っていた宗七は、眼を上げてあたりを見廻した。

なるほど、この家へ引き取って以来、ずっと毎日、起きている間は、必ずそこの部屋の隅にうつ向いていた小信の姿がいま見えないのである。

宗七は、考えごとに気を取られていて、いつ小信が家を出たとも知らなかったが、ちょっと用たしに行ったお多喜がいま帰って来ると、格子を開けて土間へはいると同時に、そう驚きの声をあげたわけ。

「うん、いねえなあ。そう言えばさっき、土間へ下りてうろうろしていたようでもあったが――。」

「何を言ってるんだよ。お前さん。そんな呑気なことを言ってちゃあ、困るじゃあないか。弟さんの大次郎様とやらから、ああして大事にお預かりしている小信さん、気が狂って、まとまった考えがないんだもの。