Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

中の女は、もう眼も当てられない肉塊と化し去ったことだろうが、それにしては、駕籠を通して、血がすこしも流れ出ないのが不思議と、見物は眼を見張っていると。

「これでよし。女はずたずたに刺し殺されてしもうた。そこで、お立ち会い! 今わしが、この三十本の刀を引き抜くから、誰でもよい、すぐこの綱を取り払って、駕籠の垂れを上げてほしい。」

そう言いながら大次郎は、駕籠のまわりを歩いて、その三十本の刀を全部抜き取ってしまう。

最後の一本が抜き取られるのを待って、群集の中から飛び出した二、三人が、素早く縛ってある細引きを取り外け、駕籠の垂れを開けると、中から千浪がにっこり笑いながら、駕籠を出て来た。身体はもちろん、着物にも帯にも、いずことして疵一つない。

あまりの妙技に、群集はどっと歓呼の声を揚げる。

宗七もお多喜も、われを忘れて凝視めていた。気の早い江戸っ子の群集なので、大次郎が扇子をひろげて歩き廻ると、ばらばらと鳥目が扇子の上へ飛ぶ。

三十本の刀を鞘におさめ、その細引きでぐるぐる巻きにして駕籠へほうり込むと、これで芸は終った。

千浪は恥かしげに終始駕籠のわきに首垂れて立っていた。