Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

練塀小路の道場を出て、これで何日経ったか。

あのままの姿の大次郎、祖父江出羽守と寸分違わぬ雪白の弥四郎頭巾、白い絹に、黒で賽ころの紋を置いた着流し――こげ茶献上をぐっと下目に、貝の口に結び、此刀があの女髪兼安なのであろう、塗りの剥げかかった朱鞘と、じぶんの蝋ざやの脇ざしとを、奇妙な一対に落し差して。

この大次郎、下谷を出て以来、今までここに潜んで何をしていたのか――。

ぶらりと来かかった高札の前である。

呼ぶ声に何もの? と見向いたかれのまえに立ったのは、残して来た若妻千浪の、眉のあとの青い顔ではないか。

あたりはいっぱいの群集だが、みな御高札をふり仰いでいて誰も気がつかない。

「や! そなたは何しにここへ――また、何の用ばしござって拙者に声をかけられたか。」

大次郎様にしては、すこし声が太過ぎるようだ――と、千浪は思ったけれど。

それに。

頭巾の中から覗いている鼻柱も、赤く高く、眼が暗く澱んでいるようではあるが。

何も気のつかない千浪は、

「大次郎様――。」

ともう一度、低声につぶやいて、そっとその白覆面白装束の武士に寄り添った。

この千浪は、

良人大次郎は家出したものの、自分を嫌い道場を厭って去ったものとは、どうしても思えなかったので。