Japanische Klassiker mit Furigana
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くまさんのふえ
熊さんの笛
小川 未明
Lesen Sie 熊さんの笛 (くまさんのふえ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.772 Zeichen · 6 Bildschirme
熊さんは、砂浜の上にすわって、ぼんやりと海の方をながめていました。
「熊さん、なにか、あちらに見えるかい。」と、いっしょに遊んでいた子供がたずねると、
「ああ、あちらは、極楽なんだよ。いつもお天気で、あたたかで、花がさいて、鳥が鳴いているところだ。」といいました。
「どうして、そこへはゆけるの……。」と、子供は聞くと、
「ちょっとゆけないけれど、俺には、ありありと、その国が目に見えるので。」といいました。
子供たちは、熊さんのそばへ寄ってきました。そして、いっしょに砂浜の上にすわって、沖の景色をながめたのであります。
夕焼けのした、あちらの空には、美しい雲が、ちょうど、花びらの散ったように、漂っていました。そこで、冷たそうな波が、ただそれを洗っているようにみえるばかりでした。
「私には、なんにも見えない……。」と、子供はいいました。
「おまえたちが、俺みたいに、笛が上手になれば、極楽の景色が見えるようになるよ。いま、俺が笛を吹くと、あちらで、天人たちが、耳を傾けて聴いているのだ……。」
熊さんは、こういって、持ってきた笛を吹きました。笛の音色は、澄みわたって、晩方の海を、波の上を、ただよいながら、遠く、遠く、流れていったのです。