Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くまのでるかいこんち

熊の出る開墾地

佐左木 俊郎

Lesen Sie 熊の出る開墾地 (くまのでるかいこんち) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.070 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

自然の幽寂な音楽が遠退くにつれて、深林の底は再び明るくなった。紺碧の高い空から陽が斜めに射し込んだ。明るい陽縞の中に、もやもやと水蒸気が縺れた。落ち葉の海が、ぎらぎらと輝き出した。

最早、路は原始林の一里半の幅を尽くして、鉄道の通る村里へ近付いていた。機会はここから急転する。若い農夫は鉄砲を提げて、熊笹の中を馬車の先へと駈け出した。そして、樹陰から路の上に狙いを据えて馬車を待った。

「ほおら! しっ!」

馭者が馬を追う声がして、ぎしぎしと車体の軋めく音が近付いて来た。間もなく樹の陰から馬の首が出て、胴が見当の上を右から左へと移動した。若い農夫は激しく動悸する胸で、猟銃にしがみつくようにして引き金に指をかけた。約三十秒! とそこへ、左から右へ人影が現れた。アイヌであった。

若い農夫は驚異の眼をり、ほっと溜め息を吐くようにして、猟銃を自分の足許に立てた。アイヌはそこに立ち止まって、若い農夫の見当を遮ったまま、珍しい馬車での通行者を、いつまでも見送っていた。機会は、馬車と共に原始林から村里へと駛って行った。

*

雄吾は猟銃を右手に引っ掴んで、がさがさと熊笹薮の中を戻った。