Japanische Klassiker mit Furigana
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ねつ
熱
宮本 百合子
Lesen Sie 熱 (ねつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.235 Zeichen · 5 Bildschirme
「お前は、求めて病気をして居るんだから。
そう云われるのが何よりつらい。
熱の出たと云う事よりも苦しい事である。父は、あんまりの心配から、腹立たしい様に、
「それは、大病の元なんだからね。
青くひょろひょろになって肺病なんかんなったって、
私は見舞になんか行かれないんだ。
と云う。
私は、ポロポロ涙をこぼしてきいて居なければならない。
母がそう云うのも、父が云う事も、心配してくれるのだと云う事は分りきって居ながら、何だか、それほどには云わないでも、と云う気がする。
ほんとうに何でもない、只の風だ。
私はそう思って居ながら、父の云った事なんかを思い出すと、身も世もあられない様な思がする、のである。
キニーネをのんで、ひとりで、寝部屋に行って、厚い毛布の間に包まって顔ばかり出して、まだからっぽで居る弟共の二つの床を見て居ると、あたりの静けさにさそわれて、気持も、しっとりとなって、唇が何だかパサパサするのをしめしながら、いろいろな事を思う。
勿論この熱で私の命のなくなる様な事は有り得ない事である。
けれ共、いずれ一度は、死ななければならないにきまって居る。