Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
一個の葡萄酒の壜らしいものが置かれてあるのが私の目に入った
今まで空壜だろう位に思っていたがよく見ると
八分目ほどの葡萄酒らしいものが這入っていてそれがひとりで無気味に揺れている
老婆はそれを気にするようにときどき変な目つきでそれを見ている
私はまだ何やら鍋の中を掻き廻している彼女に何気なさそうに言った
「婆さん、おれにその葡萄酒を一杯くれ」
すると老婆は解ったように私に目で合図をして(何んて厭らしい目つきだろう!)
しかし自分の手許の壜はそのままにして、向うの戸棚へ他の壜を取りに行った
いよいよもってこの壜が怪しいぞ!
この壜がきっとあの少女なのかも知れん? あの少女がこの壜に這入っている?
そこで私は魔女が向うむきになっている隙を窺って体を伸し
その壜をひったくる そうして急いでその部屋から逃げ出しかける
惶てて飛んできた魔女が私からその壜を取り戻そうとして
私に武者ぶり着く 私は魔女と格闘をする
そして其奴をそこに打っ倒す しかし其奴は今度は私の足にしがみついて
踏んでも蹴ってもそれを離さない
私はとうとう奪い去るのは諦めて
その壜の口を抜き、がぶがぶそれを立飲みし出す
私は見る見るそれを飲み干して行く それは何ともかんとも云えないほど好い味がする