Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
――雑草が生いかぶさるようになっている小径の両側には、とりわけ羊歯が見事に生長していたが、それが彼にはあたかも可愛らしい手をひろげて自分を歓迎している子供たちのように見えるらしく、彼を微笑ませていた。……
そこの奥まったヴェランダに、彼の叔母がひとりで籐椅子に凭りかかっているのを認めると、
「叔母さん……」
そう彼は人なつこそうに元気のいい声をかけた。
「……そうしているところはまるで羊歯の女王みたいですね」
「そう見えて?……女王なら、私は何の女王でもいいわ」叔母さんは彼ににっこり笑って見せた。
彼は靴のままヴェランダに上って、そこにある籐椅子の一つにどっかり腰を下した。そうしてすこし荒い呼吸づかいをしていた。
「お疲れになったでしょう。すぐお寝みにならない?」
「ええ……叔父さんは?」
「ずっと東京よ……また痩せっぽちが二人寄ってたかってきっと笑うことよ」
「ふ、ふ、僕もここへ来る途中で考えたんですがね……」
「…………?」
「あのね、昔はそれでも、叔母さんと僕とで目方を合せると叔父さんのよりは五瓩ぐらい多かったでしょう。でも、もう駄目なの。……僕はあの頃から見ると五瓩はたっぷり減ってしまったからなあ」