Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
Lesen Sie 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.908 Zeichen · 204 Bildschirme
今は、午後十一時をまわっている。房枝が、あたりを見わたすと、ビルの灯は、一つのこらず消えている。街路灯さえ、ここにはついていない。まっくらな道を行くと、足音がビルの壁に反響して、異様な音をたてる。両がわには天へもとどくかと思われるようなビルの黒い壁がつっ立ち、ビルとビルとのせまい間からは、夜空がちょっぴりのぞいていて、星がきらきらとことのほか美しく見える。人通りは全くない。死の街を歩いているような気がする。
「さびしいわねえ」
房枝は、いつともなく、黒川の方へすりよっていた。
「うん、さびしいなあ。バラオバラコは、わざわざこういうさびしい時刻、さびしい場所をねらったのだ。それにはここはもってこいの場所だからねえ」
黒川は、おそろしそうにいった。
「なんだか、あたしたちは、湖の底にしずんだ街をあるいているようね」
房枝は、自分の感じを、そのようにいいあらわした。
「うん。ビル街が、こんなにおそろしいところだとは、今夜歩いてみて、はじめて知ったよ。さっきから、こうして歩いているが、まだ一人の通行人にも会わないねえ」
「ああ、そうね」
と、房枝も、なんだかおそろしくなって肩をすぼめた。