Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちのしゅっきょう
父の出郷
葛西 善蔵
Lesen Sie 父の出郷 (ちちのしゅっきょう) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.047 Zeichen · 18 Bildschirme
もう一人の従弟のT君はこの春突然やってきて二晩泊って行ったが、つい二三日前北海道のある市の未決監から封緘葉書のたよりをよこした。
――その後は御無沙汰しておりました。七月号K誌おみくじの作を拝見し、それに対するいたずら書きさしあげて以来の御無沙汰です。いや御通知いたしかねていたのです。半僧坊のおみくじでは、前途成好事――云々とあったが、あの際大吉は凶にかえるとあの茶店の別ピンさんが口にしたと思いますが、鎌倉から東京へ帰り、間もなく帰郷して例の関係事業に努力を傾注したのでしたが、慣れぬ商法の失敗がちで、つい情にひかされやすい私の性格から、ついにある犯罪を構成するような結果に立到り、表記の未決監に囚われの身となりおります次第、真に面目次第もありません。
昨日手にしたC誌十一月号にあなたの小品が発表されていましたので、懐かしさのあまり恥を忍んでこうした筆を取りました。それによると御病気の様子、それも例の持病の喘息とばかりでなく、もっと心にかかる状態のように伺われますが、いかがでございますか、せっかくお大事になさいますよう祈ります。私の身は本年じゅうには解決はつくまいと覚悟しております。