Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちかえる
父帰る
菊池 寛
Lesen Sie 父帰る (ちちかえる) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.615 Zeichen · 16 Bildschirme
男の声 まあ! 丈夫で何よりじゃ。子供たちは大きくなったやろうな。
母の声 大きゅうなったとも、もう皆立派な大人じゃ。上ってお見まあせ。
男の声 上ってもええかい。
母の声 ええとも。
(二十年振りに帰れる父宗太郎、憔悴したる有様にて老いたる妻に導かれて室に入り来る、新二郎とおたねとは目をしばたたきながら、父の姿をしみじみ見つめていたが)
新二郎 お父さんですか、僕が新二郎です。
父 立派な男になったな、お前に別れた時はまだ碌に立てもしなかったが……。
おたね お父さん、私がたねです。
父 女の子ということはきいていたが、ええ器量じゃなあ。
母 まあ、お前さん、何から話してええか。子供もこんなに大きゅうなってな、何より結構やと思うとんや。
父 親はなくとも子は育つというが、よういうてあるな、ははははは。
(しかし誰もその笑いに合せようとするものはない。賢一郎は卓に倚ったまま、下を向いて黙している)
母 お前さん、賢も新もようでけた子でな。賢はな、二十の年に普通文官いうものが受かるし、新は中学校へ行っとった時に三番と降ったことがないんや。今では二人で六十円も取ってくれるし、おたねはおたねで、こんな器量よしやけに、ええ所から口がかかるしな。