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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちちすぎやましげまるをかたる

父杉山茂丸を語る

夢野 久作

Lesen Sie 父杉山茂丸を語る (ちちすぎやましげまるをかたる) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.127 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

私の背後には昨夜から父の最後の喘ぎを一心に凝視して御座った羽織袴の頭山さんが、キチント椅子に腰かけて、両手を膝に置いて御座るので、醜体を演じてはならぬと一生懸命に唇を噛んでいたがトテモ我慢し切れなかった。

もちろん母や妹、看護婦なぞいう女共が泣くのは何ともなかったが、男の人達が一々唇をわななかし、咽喉をヒクヒクさせて行かれるのが一々胸にコタエた。最後に、色の黒い若い、田舎の百姓さんが、泣き濡れた顔を私の真正面に持って来て思い切り引き歪めて見せた時には、全く何もかもわからなくなってしまった。今にもコップとお盆を投出そうかと思い思い我慢し通した。

それから間もなく、父の友人で、永い間、私等の家族の世話をして下さった人々が協議された結果、私を別室に招いて次のような事を云われた。

「貴方のお父さんは貴方個人のお父さんと思ってはいけないと思います。吾々のお父さんであると同時に社会のお父さん……すなわち公人であると思います。だからこの際、相済みませぬが、貴方の個人としての弔意を捨てて、吾々に葬式をさせて頂けますまいか」

そうした誠意に満ち満ちた言葉は、何もわからぬ程、色々の思い出に混乱していた私の頭を北極の氷のような冷静さに返らせた。