Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
牛
Lesen Sie 牛 (うし) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.971 Zeichen · 25 Bildschirme
「光也! 光也!」
父は腹を立てて、子供をよんだ。光也は是非なく二人の前へ坐った。二人に問いつめられて、ジッと十分間も石のように考えたあげく、
「言い交したとは思いませんが、そう云われても仕方がないかも知れません」
「なぜ仕方がないか」
彼の父は腹を立てた。
「明日、学校へ行ってから、考えてみます」
「何を考える」
「言い交したか、どうか、考えてみます」
「考えなくとも分るだろう」
「クラヤミのことだからな。ゆっくり考えた方がいいぞ」
郵便局長はニヤニヤ笑って云った。それからドッコイショとミコシをあげて帰ったのである。
翌朝光也がバスのあるところまで一里ほどの山道を歩いて行くと、
「オーイ」
木陰から郵便局長が現れて呼びとめた。そのかたわらに小さな動物がうごめいたが、それが娘であった。
娘は尖った顔の中でそれだけがくぼんでいる目を大きく見開いたが、全然そこには情熱もなく、物を云う目でもなかった。
娘はやせた手をワナワナとフトコロへ突ッこんで、キャラメルの大箱をとりだした。それを黙って差しだした。光也が片手を差しだすと、その掌へ振らせた。やっぱり指は冷めたかった。