Japanische Klassiker mit Furigana
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カラスキーしのゆうじょう
犂氏の友情
久生 十蘭
Lesen Sie 犂氏の友情 (カラスキーしのゆうじょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.312 Zeichen · 27 Bildschirme
石亭先生は、頸まで真っ赤にしていきり立ちながら、
「いったい、なんの必要があって大統領なんかを殺すんです。仏蘭西の大統領なんぞは、外国のほうを向いて立っている、一種の社交の人物にすぎないんだから、そんなものを殺してみたってなんの役にも立ちゃァしない。実際あの気狂い野郎のやりそうなこってすよ。馬鹿々々しいにも程がある。……あの面相にしてからが、典型的な悖徳狂の型で、ああいう乖離性素質のものこそ、こういう傾向的犯罪を犯しやすいんです。ああいう種類のやつの非人情、残忍性ときたら、とても常識で律するわけにはゆかんのですからねえ」
なるほど、先生のような見方もあるだろう。カラスキーが先生に贈ったひそかな友情については、それを先生に告げる意志は毛頭なかったが、それはそれとして、少しばかり先生を困らしてでもやらなければ、虫がおさまらぬような気持になってきた。
「ねえ、先生、カラスキーがあなたをどこへ誘ったって言いましたっけね」
「サン・トノーレ街です」
「あなたは、サン・トノーレ街に大統領官邸があることをご承知でしょうね」
「えッ」
「つまり、カラスキーは、あなたを大統領暗殺のお先棒に使うつもりだったのですね、こいつァどうも際どかったですナ。