Japanische Klassiker mit Furigana
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いぬがなくとガラスがこわれるか
犬がなくとガラスがこわれるか
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 犬がなくとガラスがこわれるか (いぬがなくとガラスがこわれるか) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.337 Zeichen · 41 Bildschirme
コバルトの人工同位元素で、質量数六〇のものが、手ごろな放射線を出すので、こういう場合によく使われる。新聞などによく出るコバルト六〇といわれるものが、これである。このコバルト六〇を使って研究をすすめた結果、非常におもしろいことがわかった。
コバルトの含有量が、一億分の四以下になると、牛は食慾を失ってしまうということである。一億分の四などという超微量のものは、化学分析ではどうしても出てこない。分析しても出てこないものならば、ないというより仕方がない。そういう超微量のものが、牛に感ぜられることは、まことに不思議であるが、現に感ぜられるのであるから仕方がない。馬は牛より鈍感らしく、コバルトのない牧草でも平気で食う。それで馬は育つが牛は育たないのである。
これは非常におもしろい話である。蛋白質や、含水炭素や、その他知られている栄養素が全部そろっていると、「栄養的には完全」と、ふつうにはいう。しかし、それはまちがいである。そういう栄養素が必要なことは、もちろんであるが、それは必要条件である。十分条件ではない。そういうものが必要だということと、それだけあれば十分だということとは全くちがっている。