Japanische Klassiker mit Furigana
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いぬとふるこうもり
犬と古洋傘
小川 未明
Lesen Sie 犬と古洋傘 (いぬとふるこうもり) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.104 Zeichen · 5 Bildschirme
ある村から、毎日町へ仕事にいく男がありました。どんな日でも、さびしい道を歩かなければならなかったのです。
ある日のこと、男はいつものごとく考えながら歩いてきました。寒い朝で、自分の口や、鼻から出る息が白く凍って見えました。また田圃には、霜が真っ白に降りていて、ちょうど雪の降ったような、ながめでありました。
このとき、どこからか、赤ん坊の泣く声がしました。男は思わず歩みを止めて、あたりを見まわしたのであります。
「はてな、赤ん坊の泣く声がきこえたが……。」
しかし、人の影はなし、近くに人家もなかったから、たぶん、空耳だろうと思って、また歩き出しました。
すると、今度は、前よりも、もっと近く、赤ん坊の泣く声がきこえてきたのです。
「たしかに赤ん坊だ、どこだろう?」
彼は、もう自分の耳を疑いませんでした。きっと、この近傍にだれか赤ん坊を捨てたものがあるにちがいないと思いました。
「そんな悪いことをするやつは、どこのやつだろう。」と、男は、この寒空に捨てられた、かわいそうな赤ん坊を、早くさがし出して、どうかしてやらなければと思って、声のきこえる方へ近づいていきました。