Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうじんはわらう
狂人は笑う
夢野 久作
Lesen Sie 狂人は笑う (きょうじんはわらう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.853 Zeichen · 26 Bildschirme
鬱蒼たる森林地帯を通り抜けると、巌石峨々として半天に聳ゆる崑崙山脈に攀じ登って、お茶の樹を探しまわるのですが、崑崙山脈一帯に叢生するお茶の樹というのは、普通のお茶の樹と種類が違うらしいのです。皆スバラシイ大木ばかりで、しかも、切って落したような絶壁の中途に、岩の隙間を押分けるようにして生えているのだそうですから、猿でも使わない事には、トテモ危険で近寄れない訳です。ところでその猿が又、実によく仕込んだもので、そんなお茶の大木の梢にホンノちょっぴり芽を出しかけている、新芽の中の新芽ばかりをチョイチョイと摘み取ると、見返りもせずに人間の手許へ帰って来るのだそうです。
そこでソンナような冒険的な苦心をした十人か十四五人の茶摘男が、めいめいに一握りか二握りのお茶の新芽を手に入れると、大急ぎで天幕張りの露営地に帰って来ます。そうすると待ち構えていた茶博士……つまりお茶湯の先生たちですね。それが崑崙茶の新芽を恭しく受取って、支那人一流の頗付きの念入りな方法で、緑茶に製し上げるのです。それから附近の清冽な泉を銀の壺に掬んで、崑炉と名づくる手捏りの七輪にかけて、生温いお湯を湧かします。