Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうかしあかちょこべえ
狂歌師赤猪口兵衛
夢野 久作
Lesen Sie 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.418 Zeichen · 79 Bildschirme
と言うばかり。今にも気絶しそうな腰構えである。その股倉から覗くように最前の老婆が手を合わせたまま石甃の上にひれ伏していた。
「南無大慈大悲観世音菩薩。種々重罪五逆消滅。自他平等即身成仏……南無南無南無……」
そうした念仏の中に一人の若い衆じみた頬冠りの男が、恐れ気もなく死骸の傍に跼んで、燃え立つような湯もじの裾をまくってみたり、女の髪の元結いの結び目を覗きまわったり、有り合う木切れを拾い上げて、女の口をコジあけて、黒血の一パイに溜まっている奥の方を覗いてみたりしていた。
「アレが目明の良助さんばい」
「ウン。あの人が御座りゃあ下手人は一刻の間にわかる」
「いったい何処の娘かいナ」
「今和尚さんが言い御座ったろうが。福岡一の分限者の娘たい」
「福岡一の分限者?……」
「蔵元屋の一人娘たい」
「ゲッ。あの……蔵元屋の……アノ博多小町……」
そんなヒソヒソ話が急に途切れて皆、一時にバラバラと逃出しそうな身構えになった。
目明の良助が、死骸の顔を上向けて、切れ目の長い瞼に両手をかけながら一パイに引き開いたからであった。
「キャ――ッ……」
「おそろしいッ……」
と言う震え声の中に女どもが二、三人バタバタと遠退いた。