Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうかしあかちょこべえ
狂歌師赤猪口兵衛
夢野 久作
Lesen Sie 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.418 Zeichen · 79 Bildschirme
中風付きみたような足取りでヨチヨチと元来た道へ歩き出しながらブツブツと口の中でつぶやいた。
「ヘヘン。人を盲目と思うとる。最初から試し斬りの切柄かけた白鞘の新身の脇差を引付けて、物を訊く法があるものか。聞くだけ聞いてからアトは斬り棄てる了簡と悟ったけに、わざっとカンジンカナメの下手人の名は言わずに置いた。ヘヘン。非人風情でも生命は惜しいわい。下手人は喋舌ったわ、代りに首は斬られるわ……なら、喋舌らん方がええ位の事は知っとるわい。イクラ不浄役人でもチットは和歌の稽古でもして置け。あの狂歌の謎がわからんと来たナ。ハハン」
赤猪口兵衛はここで立佇まってチンと手涕をかんだ。そうして又ヨチヨチと歩き出した。
「ヘヘン。お役目柄がよう出来た。聞込み、見込はコッチのもの。捕まえる腕前はソッチのもの。一緒にされてたまるかえ。自分の商売ダネを聞いた上に斬ろうなぞとは押しが太過ぎる。人間外れたお役目柄が天道様の下で通用するかえ。良助どんには気の毒ながら、黒田五十五万石の絶体絶命を非人の俺が知った事かえ。あんまり威張り腐るけにこの風呂敷は故意と渡さずに置いた。この大風呂敷が何を包んだものか、何処の穴から出て来たものかがわからぬうちは、お気の毒ながらお役目柄がお先まっくらじゃろう。