Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうかしあかちょこべえ

狂歌師赤猪口兵衛

夢野 久作

Lesen Sie 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.418 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

「何と仰せられまする。蔵元屋が盗人とは……」

「さようさよう。盗人に相違御座いません。最早お察しかも知れませんが蔵元屋は自分の運の尽くる処とは知らず、一人娘を貴方様に差上げて、それを因縁にお宅の金を引出いて、自分の家の不始末を拭おうと巧謀んだもの……」

「えっ。そ……それではお熊さんも同じ腹……」

半三郎の驚きはイヨイヨ倍加した。両手を膝に上げたまま夢に夢見る呆れ顔になった。

赤猪口兵衛は赤い鼻の先で手を振った。

「そこじゃ、そこじゃ。そこが今度の蔵元屋騒動の大切なカン処じゃ……お熊さんばっかりは、タッタ一目で貴方様のお気に入りました通り、清浄無垢の身体と心……」

「ええッ。それでは貴方のお話の、盆茣蓙の壺とやらを、お熊さんが振らっしゃったのは……」

「……親孝行の一心からで御座いまする」

「ヘエッ……そのような親孝行が……」

「……御座いますから世間は広い。お前の壺の振りよう一つで蔵元屋の身代が立直るか、直らぬかの境い目と、両親に言い聞かせられたお熊さんの、一心から身を斬らるるような思いをしながら毎夜毎夜のカラクリ丁半……早よう死にたい死にたいと花の盛りのお熊さんが、神仏を祈って御座ったいじらしさ。