Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうかしあかちょこべえ
狂歌師赤猪口兵衛
夢野 久作
Lesen Sie 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.418 Zeichen · 79 Bildschirme
猪口兵衛は古い丸瓦の中へ泥墨を磨り流して、忙しそうに渋団扇へ揮毫しながら、三畳一パイに並べていた。
「この渋団扇は何かいな」
良助は並んでいる渋団扇の一枚を取上げた。
「ふうむ。どうやら俺にも読める。
はしけやししのぶもじずりかかるとき
るすのかみがみいともかしこし
ほう。どの団扇もどの団扇もみんな同じ文句ばっかり……何の事かいな。これは……」
「ふうん。この四、五日福岡博多で大流行のこの歌を知んなさらんか」
「……知らん。こげな歌……」
「知らんかなあ。知らんなら言うて聞かそう。この歌の心ばっかりは山上憶良様でもわかるまい。御禁制の袁許御祈祷のインチキ歌じゃ」
「困るなあ。そげな仕事の下請けしよんなさるとアンタの首へ私が縄かけにゃならん」
「インチキにかかる相手が疫病神なら仔細なかろうモン」
「ナニ。疫病神……?……」
「カンの悪い人じゃなあ。それで御用聞きがよう勤まる」
「又、悪口が始まった。何かいなあ。その疫病神と言うのは……」
「これはなあ。近頃痳疹が流行りよるけに何かよい禁厭はないかちゅう話から、わしが気休めに書いて遣った、意味も何もない出放題じゃ。