Japanische Klassiker mit Furigana
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どくしん
独身
Lesen Sie 独身 (どくしん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.012 Zeichen · 19 Bildschirme
弐
それから優しい女の声で「かりかあかりか、どっこいさのさ」と、節を附けて呼んで通るのが聞える。植物採集に持って行くような、ブリキの入物に花櫚糖を入れて肩に掛けて、小提灯を持って売って歩くのである。
伝便や花櫚糖売は、いつの時侯にも来るのであるが、夏は辻占売なんぞの方が耳に附いて、伝便の鈴の音、花櫚糖売の女の声は気に留まらないのである。
こんな晩には置炬燵をする人もあろう。しかし実はそれ程寒くはない。
翌朝手水鉢に氷が張っている。この氷が二日より長く続いて張ることは先ず少い。遅くも三日目には風が変る。雪も氷も融けてしまうのである。
弐
小倉の雪の夜の事であった。
新魚町の大野豊の家に二人の客が落ち合った。一人は裁判所長の戸川という胡麻塩頭の男である。一人は富田という市病院長で、東京大学を卒業してから、この土地へ来て洋行の費用を貯えているのである。費用も大概出来たので、近いうちに北川という若い医学士に跡を譲って、出発すると云っている。富田院長も四十は越しているが、まだ五分刈頭に白い筋も交らない。酒好だということが一寸見ても知れる、太った赭顔の男である。