Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうしつき
狼疾記
Lesen Sie 狼疾記 (ろうしつき) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.540 Zeichen · 47 Bildschirme
それを考えると彼は堪らなかった。それでは自分たちは何のために生きているんだ。自分は死んでも地球や宇宙はこのままに続くものとしてこそ安心して、人間の一人として死んで行ける。それが、今、先生の言うようでは、自分たちの生れて来たことも、人間というものも、宇宙というものも、何の意味もないではないか。本当に、何のために自分は生れて来たんだ? それからしばらく、彼は――十一歳の三造は、神経衰弱のようになってしまった。父にも、親戚の年上の学生にも、彼はこの事について真剣になって訊ねて見た。すると彼らはみんな笑いながら、しかし、理論的には、大体それを承認するではないか。どうして、それで怖くないんだろう? どうして笑ってなんかいられるんだろう? 五千年や一万年の中にそんな事は起りゃしないよ、などと言ってどうして安心していられるんだろう? 三造は不思議だった。彼にとって、これは自分一人の生死の問題ではなかった。人間や宇宙に対する信頼の問題だった。だから、何万年後のことだからとて、笑ってはいられなかったのだ。その頃彼は一匹の犬を可愛がっていた。地球が冷えてしまう時に、仮に自分が遭遇するものとすれば、最後に氷の張り詰めた大地に坑を掘って、その犬と一緒に其処にはいって抱合って死ぬことにするんだが、と、その有様を寝床へ入ってから、