Japanische Klassiker mit Furigana
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いのししのあじ
猪の味
北大路 魯山人
Lesen Sie 猪の味 (いのししのあじ) von 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.083 Zeichen · 8 Bildschirme
私は未だにそれを忘れない。私が食物の美味さということを初めて自覚したのは、実にこの時であった。
この肉屋は、もちろんその後、代が変っているが、今も繁昌している。
想い起こせば、また、こんな話もある。
ここには猪の肉だけでなく、熊や鹿の肉もあった。当時はまだ豚をあまり食わない時代で、三条寺町の三島という牛肉屋まで行かなければ豚はなかった。豚がなかったわけは、キタナイという気持がまだ一般にあったからであろう。もうひとつ、ついでに述べておけば、面白いことに、昔は豚の肉でも京都の方では、赤いほうが安く、白い脂身が高かった。私なども脂身が美味いと思っていた。ところが東京へ来てみると、反対に赤身が高く、脂身が安い。「東京は美味いところが安いのだね」などと言って、脂身を買って食ったことを憶えている。だが、これも今日になってみれば、脂身ばかりでも困る。これは豚肉に対する私の嗜好の変化もあるが、飼育法や餌が変って来て、豚肉そのものが美味くなって来たせいかも知れない。それはともかく、当時は豚よりもむしろ猿を食っていた。私なども、ちょいちょい食ったもので、その肉はちょうどかつおの身のように透き通ったきれいな肉であった。