Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
それとも「品子に譲ってやれ」と云うのを見ると、急に彼女が可哀そうにでもなったのか知らん。
そう云えば、品子が此処を出て行く時に、交換条件の一つとしてリリーを連れて行きたいと云う申し出でがあり、その後も塚本を仲に立てて、二三度その希望を伝えて来たことは事実である。だが庄造はそんな云い草は取り上げない方がよいと思って、そのつど断っているのであった。塚本の口上では、連れ添う女房を追い出して余所の女を引きずり込むような不実な男に、何の未練もないと云いたいところだけれども、やっぱり今も庄造のことが忘れられない、恨んでやろう、憎んでやろうと努めながら、どうしてもそんな気になれない、ついては思い出の種になるような記念の品が欲しいのだが、それにはリリーちゃんを此方へ寄越して貰えまいか、一緒に暮していた時分には、あんまり可愛がられているのが忌ま忌ましくて、蔭でいじめたりしたけれども、今になっては、あの家の中にあった物が皆なつかしく、分けてもリリーちゃんが一番なつかしい、せめて自分は、リリーちゃんを庄造の子供だと思って精一杯可愛がってやりたい、そうしたら辛い悲しい気持がいくらか慰められるであろう。