Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
ところが福子は、その二杯酢が嫌いだと云ってこの間から反対していた。彼女はもっと温かい脂ッこいものが好きなので、こんな冷めたいモソモソしたものを食べさせられては悲しくなると、彼女らしい贅沢を云うと、庄造は又、お前はお前で好きなものを拵えたらよい。僕は小鰺が食べたいから自分で料理すると云って、「取れ取れ」が通ると勝手に呼び込んで買うのである。福子は庄造と従兄弟同士で、嫁に来た事情が事情だから、姑には気がねが要らなかったし、来た明くる日から我が儘一杯に振舞っていたけれど、まさか亭主が庖丁を持つのを見ている訳に行かないから、結局自分がその二杯酢を拵えて、いやいやながら一緒にたべることになってしまう。おまけにそれが、もう此処のところ五六日も続いているのであるが、二三日前にふと気が付いたことと云うのは、女房の不平を犯してまでも食膳に上せる程のものを、庄造は自分で食べることか、リリーにばかり与えている。それでだんだん考えて見たら、成る程あの鰺は姿が小さくて、骨が柔かで、身をむしってやる面倒がなくて、値段のわりに数がある、それに冷めたい料理であるから、毎晩あんな風にして猫に食わせるには最も適している訳で、つまり庄造が好きだと云うのは、猫が好きだと云うことなのである。