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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

そないしといて、ええ折を見て、機嫌直った時分に取り戻すこと出来んもんかいな。―――」

そんな、渡してしまったものを先方が返す筈もなし、受け取る筋でもないことは分っていながら、庄造が母親に甘えるように、母親も見え透いた気休めを云って、子供を賺すような風に庄造をあやなす癖があった。そして彼女は、いつでも結局この忰を自分の思い通りに動かしているのだった。

もう若い者はセルを着出した頃だのに、袷の上に薄綿の這入ったジンベエを着て、メリヤスの足袋を穿いている彼女は、小柄で、痩せていて、生活力の衰えきった老婆のように見えるけれども、頭の働きは案外確かで、云うことやすることにソツがないので、「息子よりも婆さんの方がしっかりしている」と、近所ではそう云う評判だった。品子が追い出されたのも、実は彼女が糸を操ったからなので、庄造にはまだ未練があったのだと云う人もある。それやこれやで、この附近では母親を憎む者が多く、一般の同情は品子の方に集まっていたが、彼女に云わせると、いくら姑の気に入らない嫁でも、忰が好きなものならば、出る筈もないし出せる訳もない、やっぱりあれは庄造に飽かれたからだと云う。