Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
そして彼の指に噛み着いたり、爪で引っ掻いたり、涎を垂らしたりしたが、それは彼女が興奮した時のしぐさなのであった。
そう云えば一度庄造が布団の中で放屁を鳴らすと、その布団の上の裾の方に寝ていたリリーが、びっくりして眼を覚まして、何か奇態な啼き声を出す怪しい奴が隠れているとでも思ったのであろう、さも不審そうな眼をしながら、大急ぎで布団の中を捜し始めたことがあった。又或る時は、嫌がる彼女を無理に抱き上げようとしたら、手から脱け出て、体を伝わって降りて行く拍子に、非常に臭い瓦斯を洩らしたのが、まともに庄造の顔にかかった。たしかその時は食事の後で、今御馳走を食べたばかりの、ハチ切れそうにふくらんだリリーのお腹を、偶然庄造が両手でギュッと押さえたのである。そして運悪くも、ちょうど彼女の肛門が彼の顔の真下にあったので、膓から出る息が一直線に吹き上げたのだが、その臭かったことと云ったら、いかな猫好きもその時ばかりは、
「うわッ」
と云って彼女を床へ放り出した。鼬の最後ッ屁と云うのも恐らくこんな臭さであろうが、全くそれは執拗な臭いで、一旦鼻の先へこびり着いたら、拭いても洗っても、シャボンでゴシゴシ擦っても、その日一日じゅう抜けないのであった。