Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
で、その牛乳と、花鰹節をふりかけた御飯のお皿と、剥げちょろけの、縁のかけたお椀を取り出すと、罎の牛乳をお椀へ移して、部屋のまん中へ新聞紙をひろげた。それからお土産の包を開いて、水煮きにしてある鶏の肉を、筍の皮ぐるみそれらの御馳走と一緒に並べた。そして「リリーや、リリーや」とつづけさまに呼びながら、皿と罎とをカチャカチャ打ちつけてみたりしたけれども、リリーはてんで聞えないふりをして、まだ窓ガラスにしがみ着いているのであった。
「リリーや」
と、彼女は躍起になって呼んだ。
「お前、何でそない表ばかり見てんのん? お腹すいてエへんのんか?」
さっきの塚本の話では、乗物に酔うといけないと云う庄造の心づかいから、今朝は朝飯を与えていないのだそうであるから、余程空腹を訴えなければならない筈で、本来ならば皿小鉢の鳴る音を聞いたら忽ち飛んで来るところだのに、今はその音も耳に這入らず、ひもじいことも感じないくらい、此処を逃れたい一念に駆られているのであろうか。彼女は嘗てこの猫が尼ヶ崎から戻って来た一件を聞かされているので、当分の間は眼が放されないことであろうと、覚悟していたものの、でも食べものを食べてくれて、フンシへ小便を垂れるようになってくれたら大丈夫だと、それを頼みにしていたのだが、来る々からこんな調子では、直ぐにも逃げられ