Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこ
猫
豊島 与志雄
Lesen Sie 猫 (ねこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.725 Zeichen · 6 Bildschirme
旅から帰ってくると、猫の嬉しがりようったらない。身体をすりつけてくる。背中にとび乗る。頬辺をなめる……。
この猫、案外、唯物主義者でない、と私は思ったのである。
ところが、昨年の夏、知人の家に、尾の長い純白の牡の仔猫が出来たので、貰う約束をして、生後二カ月ばかりして連れてきた。私はかねがね、純白か漆黒かの尾の長い男猫を求めていたので、その願いの半分だけかなったわけだ。
それはよいが、そこで、思いがけない障碍にぶつかった。貰って来た仔猫に、家の猫がなかなか親しまない。仔猫の方はさすがに無頓着で、時々実の親と間違えてか、なつかしそうに寄ってゆくこともあるが、親猫はすぐに、睥みすえ唸り声を出し、場合には引掻いたりする。それを私は互に馴れさせようとして、二匹一緒に膝の上に抱くが、そうなると仔猫までおじけて、二匹とも不安そうに身体をすくめ、首を縮め、時々低い唸り声を立て、はては膝から飛び出してしまう。そして室の別々の隅に蹲る。そんな状態が二週間ばかり続いた。ただ、食事の時いがみ合うことは殆んどなかった。
今になって考えると、親猫の方が馴染まなかったのは、妊娠していたせいだったらしい。