Japanische Klassiker mit Furigana
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さるとびさすけ
猿飛佐助
織田 作之助
Lesen Sie 猿飛佐助 (さるとびさすけ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.413 Zeichen · 60 Bildschirme
と、直ぐに言い返して、あとは入りみだれて、
「おのれは、正月の餠がのどにつまって、三カ日に葬礼を出しよるわい」
「おのれは、一つ目小僧に逢うて、腰を抜かし、手に草鞋をはいて歩くがええわい」
「おのれこそ、婚礼の晩にテンカンを起して、顔に草鞋をのせて、泡を吹きよるわい」
「おのれの姉は、元日に気が触れて、井戸の中で行水しよるわい」
「おのれの女房は、眼っかちの子を生みよるわい」
などと、何れも浅ましく口拍子よかった中に、誰やら持病に鼻をわずらったらしいのが、げすっぽい鼻声を張り上げて、
「やい、そう言うおのれの女房こそ、鷲塚の佐助どんみたいな、アバタの子を生むがええわい」
と呶鳴った。
その途端、一人の大男が、こそこそと、然しノッポの大股で、境内から姿を消してしまったが、その男はいわずと知れた郷士鷲塚佐太夫のドラ息子の、佐助であった。
佐助は、アバタ面のほかに人一倍強い自惚れを持っていた。
その証拠に、六つの年に疱瘡に罹って以来の、医者も顔をそむけたというおのが容貌を、十九歳の今日まで、ついぞ醜いと思ったことは一度もなく、六尺三寸という化物のような大男に育ちながら、上品典雅のみやび男を気取って、熊手にも似たむくつけき手で、怪しげな歌など書いては、近所の娘に贈り、いたずらに百姓娘をまごつかせていたのである。