Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 174.521 Zeichen · 344 Bildschirme
おとなしいものたちよ、愛らしい人間の精神の産物たちよ。人々が落付いて、自分たちの愛らしさを感じ直せる時まで無事でいなさい。それは鏡のようなもので、人間のこしらえたものであり乍ら、或時、人間に人間というものを考え直させるはたらきをもって居ります。
こういう晴々としたよろこびをもって、こんな整理も出来るのは、うれしいことね。自分が、こうやって、祖先たちの優雅を十分愛掬することが出来つつ、自身は全くありふれたやすもの瀬戸もので、こんなにうまくものをたべ、愉快に茶ののめるのを仕合わせに思います。
そしてね、今のこの寸刻のアントラクトに、わたしにこんな手紙かかせる気もちには一寸した基礎があります。
火曜日の帰りにあなたのセルをとる必要があり、中野の方へゆきました。それから、自分の荷もつのことでもう一ヵ所、友達のところを訪ねました。どこでも、わたしは珍客でたのしくすごしたのですが、帰って来てひとりになって考えていると、何と云っていいかしら、自分が一艘の船であって、波の立つ水の中を、気もちよくずっぷり船足を沈めて通って来たというような感じになりました。通って来た、というより通りつつある毎日という感じを深めました。