Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
魔女だと云われて、単に不幸で孤独のためすこし頭の変になった老母が、宗教裁判にかけられそこなったり、地球は動くと云って命をとられそこなったり。人間て何という高貴な、何という愚劣なものでしょう。
私があんまり緻密な頭でなくて、時々スリップして、便宜主義になるときがあるから、きっといつも危かしい足どりにお見えになるのでしょうとすみません。全くその点は意気揚々としたことは云えないのだけれども、でも私は馬ではなくてよ。足はすべらしても、すべったらそれぎりの馬ではありません。牛の部よ、すべったにしろこの坂をのぼると思えば、膝をついてものぼります、牛はそうやって馬にのぼれないところをのぼり終せる動物です。私はその牛をいとしいと思うの。牛には牡ばかりでなく牝もあって、その牝にだってその健気な天質は賦えられているでしょう、私は荷牛でいいの。立派な牛舎に桃色の乳房をぽってりと垂らしてルーベンスの描いた女のように、つやつやと見事にねそべっていられず、自分のしっぽで、べたくそのすこしついたおしりの蠅を追いながらのたのたといろんな坂や谷を歩いてゆく、そういう牛でいいと思います。