Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme

Aozora Bunko

碁なら、女の人で哲学者の奥さんで先生がありますが、いかに暇潰しに困っても白と黒の石をパチリとやる趣味はまだ無くてね。ピアノを弾けばいいようなものの、音がまだ強過ぎるし第一、ああしてガンと黒く光って構えているものと向い合うのも気おっくうだし、私が全く子供のピアノでも今の譜を見る速力よりは指の方がまだ早いから、これもだめ。おかしいでしょう。色々な時期に、色々困ったことが起って来て。疲れ工合に注意してみると、私はまだ1/3人前です。一人前になる迄にはたっぷり今年一杯はかかりますね。ポチポチと短い文章を書き、詩のような物も書き、それがやがて一冊の本にでもなるだけの収穫があれば、こんな時期も私は怠惰ではなかったと云うものでしょう。それに就てはあなたに云いたいお礼も沢山あります。すえ子もそんなものを読むときには一廉のつら構えで、これはいいとか、左程でないとか、これはちゃんとした音楽の伴奏で朗読されるべきものだとか、その位の音楽を作りたいものだとか云って、これもやっぱりなかなか私にとっての清涼剤です。夜眠らなくて、とんだ時にマッチをすり、人を起したりして、そう云うスエ子は本当にいやだけれど、この癇癪の種が案外な処で薬用と変じるので、なかなか扱いは微妙を極めます。