Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
ふと見るとね、濃藍の花がいつの間にか薄桃色っぽい方の花弁に自身の花弁をふれそうになっているの。さわるが如くさわらざるが如く揺れている様子は大変風情があって、何か目をひきつける魅力があります。ほどなく、ほんのかすかに、髪の毛の感じるような風が一ふき吹きわたりました。すると濃藍の朝顔の花はその繊細ならっぱ形の花びらに不思議な生気をたたえて、いかにもそっと薄桃色の花にふれました。目の加減でしたろうか、ふれられた花は何となし花の紅潮をふかめたように見え、二つの花は、花弁の一端をふれ合わせたまま、じっとしています。もうおそい午後で、葉をすかして午後の斜光がさして居ります。その花たちはたっぷりした葉をほしいまま緑金色にきらめかせたまま、それにかかわりないように、寧ろ、その美しさの凝集のように葉かげによりそっています。明るさの奥にもう夕方のかげがひろがる刻限でしたから、その仄かな眺めは大変に大変に優艷でした。
私は自分を仕合せと思うのよ。こういう美しさを味うことの出来る仕合せは、くらべるもののないゆたかさとありがたく思います。
さて、本の話です。『偉大なる夢』