Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
こういう落付かなさというか貪慾の状態というか、面白いのよ。この数年間こんな段々胸元に何かがせき上げて来るような気分を感じている暇なく、それだけ休む暇もなく次々にと仕事していて、こういう風に、本当に新しい諧音で自身のテーマが鳴り出そうとする前の魅力ある精神過敏の状態は、いい心持です。今の気持でおしはかると、私は断片的な感想などから書きはじめず、全く自身の文学の系列をうけつぐ小説をかきはじめるらしい模様です。
本当に腰が据れば、それが(小説をかき出すのが)おのずから本当だと思われます。そして、これは決してブランカとして悪い徴候ではないわ、ね。評論的資質をすっかり小説に自在にうちこめたら、どんなに胸もすくばかりでしょう。
十月四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
十月四日
きょうは、やっと晴れて、風も大してなく、あなたの袷も干して気持よくして明日もってゆけることになりました。きょうの空は青々して眩しくて一点の雲もなくて、秋らしくなりましたこと。これから少しは秋らしく爽やかになるでしょうか。
風邪はいかが? 私の方はのろのろですが、きょうあたりは大分ましで、耳も鳴らず、洟が出る位で楽になりました。