Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
今私が病気であることの天の恵のいや深さ。あなたもブランカはブランカなりに恵おろそかならぬものと思って下さるでしょう? わたしの仕合わせは人間生活の礎の中に据えこまれていて、私が其を掘り起さなければ宝と知れない宝であるとは興味つきぬことです。
気負けがおこると一大事ですから、もうあんまり小説についてのお喋りはいたしますまい。子供をおなかにもっている女のように、私は時々あなたに、小さな声でホラ、動いてよ、と告げて笑うでしょう。時には、手をとって丸い柔かい球なりのおなかの中に動くかすかな気配に黙って触れさせるでしょう。それであなたは万事を会得なさるのよ、母子とも健在なり、と。生れる迄、母親しかその存在も生長もじかには感じないという、いじのわるいよろこびを私はブランカらしく満喫しようという魂胆です。そして大いに神秘的になります。だって生命をうむものは神秘的なわけでしょう? 但、私の神秘さはヒステリーの全くの消失という、良人にとっての至福となって現れます。
十月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
十月十九日
又曇天になりました。いかが? こちらはずっと調子よくなおりました。