Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうき
獄中記
大杉 栄
Lesen Sie 獄中記 (ごくちゅうき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.988 Zeichen · 58 Bildschirme
」
ある時彼は夢見るような目つきで電燈を見あげながら言った。
看守がそばにいて、一緒になって話をする時には、彼はよくいろんなことを話した。しかしそうでない時には、雑役としての用以外には、ほとんど一言もきかない。自分の監房にいる時でもやはりそうだ。看守のすきを窺ってはいろんな悪戯やお饒舌をする時にも、彼だけは一人黙ってふり仮名つきの何かの本を読んでいた。話しかけられても返事をしない。雑役としての用をする時にも、よほど意地の悪い看守よりも、もっと一刻者だった。
「おい君、こんなきたない着物じゃしょうがないじゃないか。もっと新しいのを持って来てくれたまえ。」
僕は一度この老人にその持って来た着物の不足を言った。
「贅沢言うな。」
老人はこう言い棄てて隣りの室の方へ行った。
「おい、君、君!」
と僕は少し大きな声で呼び帰そうとした。看守はそれを聞きつけてやって来た。そして一応僕の苦情を聞いて、
「新しいのを一枚持って来てやれ。」
と老人に言いつけた。老人はぶつくさ言いながらまた取りに行った。
これはこの老人の一刻者らしいいい例ではないが、とにかくすべてがこの調子だった。